第18章 番外編 2
《今度は僕がみんなに託した。きっとこれを聞いてる頃には僕の仲間が宿儺を倒してくれてると思う。そうでしょ?あってるでしょ?》
少し笑ったような声に、私はぐっと歯を食いしばった。
本当にその通りだ。
悟さんは子鹿ちゃんに向かって声を録ってる時、自分が勝てない未来がある事を分かっていたんだろう。
もちろん勝つつもりでもあったんだろうけれど。
《あんまり長い事残さないから、次は一年後!僕の命日クリスマスイブにね!それまで……あんまり泣かないでくれると嬉しいな。僕が言うのはなんだけどさ。それじゃ。》
「さとる…さん………」
くてっと力を無くして項垂れる子鹿のぬいぐるみに私の涙が染み込んでいった。
「悟さんっ……いか…ないで……っ!」
悟さんは私に呪いをかけた。
来年まで生きていかなきゃいけない呪いをーー…
「私に生きろって…いうの…?」
貴方のいないこの世界で、私は貴方の声をもう一度聞くためにーー…