第18章 番外編 2
庭で、空に向かって子供のように泣いた。
大声で、
一生分の涙を流すように。
「嘘つき!」
「帰ってくるって……!うっ…!うわぁぁぁーーーん!」
「私には………できっないよっ…!!悟さん以外の人と…幸せになる…なんてっ……!」
「おかえり…って……いわせ…ってよ…ひっく……うっ…ううっ…!」
コンコン
縁側沿いにある、リビングの窓が叩かれて、私は涙を拭いた。
どんどん出てくる涙を必死で袖で擦った。
家にいる呪霊たちは通り抜けられるはずだ。
誰がドアを叩いたのか。
私は腫れたまぶたをこすりながら、そちらに視線を向けた。
「……子鹿ちゃん。」
『大事にして。』
最後に悟さんから渡されたぬいぐるみ。
私は急いでリビングに走った。
慌てすぎて靴が脱げたけど、私は気にもせず窓を開けた。
《やっほー。元気ー?》
「さっ!悟さんっ!!!」
《のことだから、僕に強がって嘘ついてるだろうなって思ったからさ。》
子鹿から悟さんの声がして私は抱き上げた。
この子鹿ちゃんはテレビの横に飾っていたはずだ。
《これがに聞こえるってことは、ごめん。僕死んじゃった!》
「…悟さん?」
会話にはならないのか、勝手に話す子鹿ちゃん。
《死んだら発動するようにしといたんだ。この呪骸に呪力を宿してね。ちゃんと聞こえてるかな。》
私は悟さんの声にまたぼたぼたと涙を流した。
一言も聞き逃すまいと、私は子鹿ちゃんを強く持った。
《は僕を送る時、きっと泣かないだろうけどさ、でも今泣いてると思う。ごめんな。》
《でも五条悟としては、これでよかったんだ。》
何度も何度も涙を拭き、私は子鹿ちゃんを見つめた。
聞こえてくる悟さんの声はとても穏やかで、この声を録ったときの悟さんの気持ちがわかるようだった。