第18章 番外編 2
ふーーーっと、ゆっくり息を吐いて落ち着かせていると、後ろの襖が開けられた。
ドアを開け、縁側に悟さんも出てきた。
「お風呂ありがとねー。」
「うん。」
明日、決戦だというのに悟さんは私に会いにきて、夕食とお風呂をここですませていた。
『明日気合い入れなきゃなんだから、のご飯食べなきゃね。』とか言って玄関に来た時は驚いた。
「前もっていってくれたら、もっとご馳走とか用意したのに。」
「あれでいいの。いつものやつで。美味かったよ。」
「……。」
タオルで髪の毛をわしゃっと拭きながら、悟さんは私の横に座った。
「…湯冷めしちゃうよ。ここは寒いから。」
「大丈夫だよ。ここ好きなんだ。」
冬の星空がよく見える縁側で私たちは空を見上げた。
「こそ、冷えるよ。」
「私はほら。火鉢とあったかいミルク飲んでるから。悟さんも入れようか?」
「ううん、今はいい。横、座ってて。」
私は暖かいミルクを両手で包むように持ち、縁側で脚をぷらぷらさせていた。
ふと視線を悟さんに向けると、お風呂上がりで白い息を出しながら空を見上げていた。
「…明日、みんなと一緒にいなくてよかった?」
「うん。はここにいて。」
悟さんは空を見上げたまま、きっぱりと言った。
「ここにいてほしいんだ。必ずここに帰ってくるから。」
「…うん。」
「優しい空気に、東京じゃ見れない星、なんのしがらみもない、唯一安らげる…のいるここに、帰ってきたいんだ。」
ちょっと邪魔なやついるけど。と、足元で悟さんの足にしがみつこうとしてる小さな呪霊を振り払った。
「わかった。終わったら帰ってきてね。前言ってたみたいに、かならず“おかえり”って言って、キスするから。」
「なにそれ、最高じゃん。」
以前悟さんがそうしてくれって言ってたのを思い出して、私が言うと悟さんが笑った。