第17章 番外編 1
自分の腕もみた。
私の二の腕、お腹、胸に歯形やキスマークが残っていた。
「や、やだ!」
私は自分の歯形を擦った。
「反対術式のやつ!なおして!」
「反対のやつって。」
くくって笑う悟さんに私は枕を投げつけた。
ぽすっと当たって落ちたが、笑うのをやめない悟さん。
「反転術式な。」
「なんでもいいよ!なおして!お願い!」
「可愛くないなー。昨日の夜のおねだりは可愛かったのに。カメラ仕込んどくべきだったな。」
「もう!」
「ちなみに治さないよ。」
「…っ!?」
「せっかくだもん。愛おしいじゃん。」
自分についてる歯形を撫でる悟さんに、私は自分の甲に噛み付いた。
「任務に支障出るくらい見えるところに歯形つけてやる!」
「別にいいよ。見せびらかすから。」
「………。」
私は諦めて自分の甲から口を離した。
「歌姫にも見せるよ?」
「……っ。」
私は顔が熱くなるのがわかった。
「…あの…別に………その、ヤキモチなんて妬いてた覚えがないんだけどな…」
深層心理でそう思ってたと言われたが、そんな自覚は私には無かった…と思う。
「あと歌姫は名前だからね?姫ってつけてるわけじゃないからね?」
「………そ…なんだ。」
勘違いしてたこともバレて、私は熱い耳を隠すように耳で覆った。
絶対赤い…。
「あー、心臓ドキドキしててかわいいなー。」
「もう…勘弁してください。」
私は団子のように布団にくるまった。
その上からばふっと乗っかってくる悟さんが、ご機嫌そうに笑ってる。
「ちょっと…仲良さそうで…いいなーって思っただけです…」
「くくっ、可愛いーなー。」
「写真、一緒に……撮りたい…です。」
「もちろん。」
布団の中でボソボソ言う私の要望に、悟さんは答えてくれた。