第15章 二人の未来
あの子達がいなかったら私は操られたままだったし、矢を放つ事もできなかった。
弓を支えてくれていた呪霊は最後放った矢で全員消えただろう。
私はなんだか切なくなって悟さんの胸に抱きついた。
「ん、どうした?」
「ううん。」
悟さんは私の肩を抱いてずっと頭を撫でてくれた。
いつも一緒だった心臓の音が今は悟さんの胸の中で、耳を通して聞こえてきた。
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目を覚ますと、ベッドに私だけで、悟さんはもういなかった。
目を擦り、ベットから降りると静かな部屋を見渡した。
「悟さん?」
私は机の携帯に手を伸ばした。
まだ、朝の6時過ぎだ。
『ちょーっと任務行ってくるねー。すぐ帰るよ。』
入っていた悟さんからの連絡に返信をすると、携帯を再び机に戻した。
「…そっか。そばにいなくていいもんね。」
私を守る必要は無くなった。
初めて会った時からほとんど一緒だった。
悟さんや傑さんは特級術師で、人手不足だという呪術界で本当に忙しい人達。
今まで私を守るために任務を断ったりとかしていたんだろう。
「私もこれからのこと。決めなきゃなー。」
「これから?」
ガチャっと音がして、ドアから悟さんが入ってきた。
「あ、おかえりなさい。早いね!」
「高専で呪物について見てきただけだからね。で?」
悟さんはいつもの黒い服に、黒い目隠しをして私の前に立った。
私はまだ寝巻きのままでなんだか居た堪れない気持ちになった。
「これからって?」
「あー、うん。だって、いつまでもここでぐーたらしてられないし。」
「…。」
「ここにいる理由…ないでしょ?」