第15章 二人の未来
ーー…体は違うから血の力は使えない。
「ゆ、弓が大きすぎる!」
6歳の体に対して長い弓にふらつくと、呪霊たちが下で真っ直ぐ立つよう支えてくれた。
「…みんなありがとう。」
弓を支えてくれている間に、私は両手で弦を引っ張った。
精一杯後ろに引っ張った。
「血の力が使えないなら、気持ちで勝ってやる…!」
地面からの手を避けながら、悟さん傑さんは飛び回っている。
私の中身がどこにいるかわからないから、攻撃せずずっと避け続けてくれている。
「集中して…。」
弓に浄化の力を集めれば集めるほど、弓を支えてくれている小さな呪霊たちが薄くなっていくのが見えた。
私は彼らが浄化され消えてしまうことに気付いたけど、力を溜めることをやめなかった。
「ありがとう。」
「悟さんっ!私をとめて!」
私が大声を上げると、それに気付いた悟さんがもどきを後ろから拘束した。
「、そっちだったのね!」
嬉しそうな悟さんに、私は微笑み、手を離した。
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トクントクン
小さな鼓動。
知ってる鼓動。
私はゆっくり目を開けた。
「あ、起きた?」
「さとる…さん。」
私は自分の手を見た。
ーー…私の手だ。
「体戻ったよ。」
その言葉に私はゆっくり体を起こした。
どこかのベッドの上だ。
「高専の医務室だよ。」
「呪霊は?」
「が浄化して、身体の中身が戻ったの確認して僕が3体とも祓ったよ。」
「…よかった。」
私がもう一度布団にぽふっと沈み込むと、悟さんが私のおでこを撫でてくれた。
「心臓の解呪もできたよ。」
私はその言葉に自分の胸に手を触れた。
数ヶ月ぶりの自分の心臓。
「…弱い鼓動。」
「ぷっ」
最近の強いドクドクって感じとまったく違う鼓動に悟さんの心臓の強さを再確認した。