第15章 二人の未来
[side]
体が言うこと聞かない。
声が出せない。
動かせるのは目の動きだけ。
6歳のまま、私は髪の毛呪霊の横を一緒に歩かされていた。
ーー…このままもどきの所に戻ったらおしまいだ。
心臓を貫かれ、元の体に戻されるだけ。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
校舎を出て、グラウンドに来た。
4メートルくらいの長身の呪霊は天井がなくなったというのに、真っ直ぐ伸びることなく、ずっと腰を曲げたままだ。
「二人ともを狙った呪霊なのか、それともどっちかがだったりする?」
後ろから悟さんの声がして立ち止まった。
ーー…私だよ!
って言いたいけれど、動かない。
悟さんに背を向けたまま、動けなかった。
「二人ともかなりの呪力量だねー。ここで祓っとくか。」
ーー…待って待って待って!!私だよ!
「いや、って可能性ある?」
私と長髪呪霊は、振り返り悟さんをみた。
私は必死に視線を合わせた。
目しか動かせない私に唯一できること。
ーー…悟さん、お願い気付いて。
体は6歳の男の子でも中身は私だよ。
【ごじょー さとる】
「あーあんたも話せるんだ。」
【じゃま じゃま!】
「待ってよ。の中身がどこいるのかはっきりしない限り、僕は祓えないよ。」
髪の毛の束が悟さんを攻撃したが、悟さんはひょいとそれを避けた。
「死ねぇ!!!五条悟!!」
近くで私の声が響いた。
ナイフを持って、振り上げている。
狙うのは自分の心臓。
生き絶える前に私と入れ替わるつもりなのだろう。
「あっぶな。の顔怖いよ。」
ふわっと降りてきた傑さんが、後ろから私の手首を掴み、拘束した。
「くそ!離せ!!この女筋力無さすぎるだろ!!」
傑さんの腕の中で暴れるもどきに傑さんは眉を寄せた。