第15章 二人の未来
どうやら、私の体を乗っ取ったところで浄化までは使えないようだ。
ーー…悟さんが来ない!
口の中を噛み切ったのに、来ないということは、心臓は乗っ取られた私の体と繋がったままということだ。
どうにかして、私の身体を傷つけないと。
携帯で傑さんを呼びたくても、携帯も私の服のポケットだ。
この小さな身体で何ができるというのか。
私は先ほど、私の身体を乗っ取った“もどき”が落としたナイフを見つけた。
あいつの足元だ。
ーー…どうにかしてあれを手に入れて傷付けたい。
「…私の身体でどうするの?」
私の口からでた声は少年だったけど、もどきに向かって、尋ねた。
「文字通り食べる。肉を食らい血を吸い、骨の髄までくらい尽くしてやるんだよ。あぁ〜楽しみで仕方ない。」
「でも、私の中に入ってたら食べられないんじゃないの?」
「まずはの忌々しい術師をやるためさ。」
「…いまいまし、い…っ!?」
悟さんだ。
心臓を刺すつもりなんだ。この特級は。
「そうだ。五条悟。あいつのせいでお前に近づけなかった。お前を食えなかった!まずは心臓を潰し、お前が生き絶える前に身体を戻す。そうすれば新鮮なお前の死体も手に入り、五条悟も死ぬ。」
あはははっ!!
と、天を仰ぎ高笑いするもどきに向かって私は走り出した。
足が短くて遅いけど、ナイフくらいなら届く。
私はナイフに飛びかかり、掴むと転がりながらナイフをもどきに振りかかった。
ピッともどきの指先に傷がついた。
ーー…よし!悟さんへの合図は送れた!
私はそのまま走り出した!
「今私の体の心臓を潰せば、あなたは死ぬだけ!この子供の身体に戻る事はできないから!!」
離れなくちゃ。この体に戻ることができないようにしないと。
悟さんが来る前に心臓を潰されたら、終わりだ!
お願い悟さん…
どうか入れ替わってしまったことに気付いてーー…!