第15章 二人の未来
「…悟さん……」
「どうした?」
「中に…いるの…。」
急にポロポロと泣き始めたに、五条はぎょっとした。
「どうした、中に?」
「中に兄弟がいるままなの。」
「…人がいたのか?」
「うん。弟の方は一度助けたんだけど、悟さんを呼んでる間に、お兄ちゃん探すって飛び出しちゃってまた、校舎に…私、止められなくて…!」
涙が止まらないのか、ぼたぼた垂らしながら言うに、五条は手を伸ばした。
「…。」
涙を拭いてやろうと無下限をすっと、解いた瞬間、は五条に向かって右手を振り上げた。
ガチンっと音がして、の右手に握られていたナイフが五条の左脇腹に当たる直前で無下限によって弾かれていた。
五条はの首を掴み持ち上げた。
「はい、ざんねーん。僕が気付かないと思った?」
「くっ…!」
は五条に首を絞められ、苦しそうに見下ろし、足をばたつかせた。
「は、セックスの時しか泣かないんだよ。」
「…う゛…」
「んー、でも呪力はのままだね。そういうの丸めて入れ替わる術式か何かか?」
涎を垂らし、睨みつけていたはニヤリと笑った。
「本物のはどこだ。」