第15章 二人の未来
傑さんの出した呪霊の背中に乗って、山の奥の廃校にやってきた。
バサバサと大きく羽ばたきながら、小さなグラウンドに降り立ち、私はぴょんっと飛び降りた。
「ありがとう、傑さん。」
「大丈夫かい?…怖いなら引き返してもいいんだよ。」
「大丈夫。傑さんも近くにいるし、悟さんも呼べばすぐ来てくれる。特級呪術師二人がついてるもん。緊張はしてるけど、平気だよ。」
鳥の背から、傑さんは少し心配そうに私を見下ろしている。
「私は数キロ離れた上空で待機してる。異変を感じたらすぐ駆けつけるから。」
「お願いしまーす。」
少しでも明るく行こうと、手を大きく振って傑さんを見送った。
ーー…みんな心配してくれてる。
「大丈夫。私は、できる。」
かなり上空まで上がっていった傑さんの鳥を見ながら、私は自分につぶやいた。
「よしっ。」
昔使われていたであろう廃校。
少子化で子供がいなくなったのか、近くに廃村もあると聞いた。
グラウンドはそんなに大きくないが、雑草がはえ、錆びついた遊具が端の方にいくつか残っていた。
木造二階建てで、ところどころ窓ガラスが割れた校舎が不気味に佇んでいた。
「まずはーー…一度綺麗に。」
悟さんに言われたことをしなくては。
私は昨日話し合ったことを思い出した。
“まずは、私の浄化で狙ってくる特級以外の呪霊を一掃する。”
特級が出てきたとき、邪魔になるからだ。
低級は邪魔にはならないが、2級以上はきっと邪魔になる。
「ふぅ。」
私は背中に背負っていた弓道に使う弓を取り出した。
大きくて私は扱いに慣れていないから、多分ここでしか使わない。