第15章 二人の未来
「勝手きて、急に祓うことを許してね。でもきっとここよりはいいところに行けるから。」
私はグラウンドの真ん中から、校舎に向かってささやいた。
弦をゆっくりとひいた。
出力は最大。
私は真っ直ぐと校舎を見据え、手を離した。
何も持たず、手で矢を放つフリをした時よりも、大きな光の束が校舎に放たれた。
これで、校舎にいる呪霊たちは浄化されたはずだ。
“次に身体に浄化を纏わすこと。”
私はここにいるとアピールするために、私は浄化の光を自分の体に幕を張るようにまとわせた。
この状態で敷地内をしばらくウロウロしてみよう。
校舎に放った矢だけでは祓いきれなかった呪霊がいるたびに、私は浄化していった。
校舎内にも入った。
「今日だけで、来てくれるだろうか…。」
木造で歩くたびにギシギシという廊下を私はゆっくり進んだ。
「呪霊とか関係なしに、普通に怖いよー。」
廃校を歩くだなんて、心霊スポットに来ているようなもんだ。
生徒たちのものは残っていなくても、机やロッカー、備品とかはまだ残っている。
いつごろ廃校になったのだろうか。
「寂しいな…。」
そうつぶやいた瞬間、後ろの方がゾワっとした。
ーーーー…いる。
私の命を狙っている特級なのかは私にはわからないけれど、何かものすごい力のものが後ろの方にいることは、私にもわかった。
私はゆっくり振り返った。
廊下の端、遠くの方にナニかいる。
髪の長い…女といっていいのかわからない人型の呪霊は人の3倍くらいの長さで横向きに腰を折って天井に頭を擦った状態でゆっくり移動していた。
「…な、ながっ。」
手も長く、床にだらっと引きずっていた。
髪の毛のせいで顔は見えないが、こちらをみているってことだけはわかる。