第15章 二人の未来
今回は気を失っている虎杖くんを、悟さんがそっとベッドに寝かせ私たちはまたソファに座った。
高専の一室に私たちはきていた。
「特級って…そんなに強いの?」
「…うーん。一級までは僕の敵にもならない。僕にとっては雑魚だ。特級でも雑魚はいる。ただ、宿儺も特級呪物。指が1本だろうが10本だろうが特級なんだ。強さは段違いで違うのにね。そういう意味では特級の幅が大きいんだよ。」
「…そっか。私じゃ浄化は無理だよね。」
力が強くなったとはいえ、私を食べようとするような奴だ。きっと無理だ。
「浄化は難しくても、呪力を削ることはできると思う。」
「ホント?」
敵はずっと私を遠巻きから狙い続けている。
今までは小さな呪霊が隠してくれ、
悟さんと心臓を繋げることで、今度は悟さんが私を守ることになった。
特級呪術師の悟さんが近くにいることで、私を狙う呪霊が近付いてこれないのだとしたら。
「悟さん。一回離れてみない?」
「え?別れるってこと?やだよ。」
私の手首を持ち、ぐっと近づいてきて、私の目を見てくる悟さんに私は慌てて首を振った。
「違う違う!」
「え、何。離れるって。距離置きたいの?何かした?」
「落ち着いてっ、悟さん。」
私は悟さんの目隠しをぐっとずり下げた。
「違うの、私が囮になるって言ってるの。」
わたしが目隠しを急にずり下げたことで、髪の毛が少し乱れ、露わになった綺麗な瞳が数回瞬きした。
「ダメだよ。」
「でも、これじゃいつまでも特級は現れないし、私の母や阿曽のおばちゃんみたいに、また誰かを巻き込んでしまう。そんなの耐えられない。」
「…。」
「私の周りに何か守るものも考えるし、傑さんに呪霊を借りれるなら借りたりして…。悟さんから距離をとって、私を囮にした方が早いと思うの。」
「…少し。考えよう。」