第2章 二人はずっと一緒
ごんっ!と、夏油さんが五条さんの頭に拳骨を落とした。
「いったーーーい!」
「お前が悪い。」
「じょーだんって言ったじゃーん!」
「あ、夏油さん。もう一回殴ってみてもらっていいですか?」
「え?あぁ。」
私がそういうと、夏油さんはもう一度五条さんの頭をグーで殴った。
「私は痛くありません。打撲は大丈夫なんですね。」
「……。」
私が軽くそういうと、五条さんは私の方を見た。
黒い布をしていても、きっと睨んでいるんだろうなって言うのがわかった。
「出血を伴う傷だけが共有するようだな。」
「そうですね。」
「試さないでよー。」
頭をさすりながら言う五条さんに私はくすくすと笑った。
五条さんの命が大切なのはわかるけれど、私を見捨てようとした罰だ。
「おっと、上から電話だ。」
「もうか。早いな。」
「人気者は困るねー。」
五条さんは携帯を取り出し、立ち上がった。
廊下で話をするようだ。
「ちょっと待っててねー。」
私たちに手を振ると、五条さんは部屋から出て行った。
「上って上司からってことですか?」
私が夏油さんにそう尋ねると、やれやれという感じに頷いた。
「上司っていうか、そんな感じだね。呪術界は古い社会だから、家柄とかそう言ったことにうるさい。五条家も大きいが年寄りや上の連中は若い悟が気に食わないのさ。」
「…そんなことがあるんですね。」
「昨日から呪霊を祓ってない悟に何か文句があるんだろう。特級の依頼を蹴ったからな。」
「とっ…きゅう?」
私は首を傾げた。
「さんは少し感じているんだろう?なにか怖い思いや、襲われたことはないのかい?」
「ありません。」
「見えてるのに?」
「はい…。ない、ですね。」
「……ふーん。」
私のその答えに不思議そうに考え出した夏油さん。
「まぁ、いいや。ゆっくり説明していくよ。そんなことよりさん。」
「はい?」
「少し遊ばないかい?」
にーーっこり笑う夏油さんに私はまた首を傾げたのだった。