第14章 二人はずっとずっと一緒
悟さんが指を差し出し、何かを撃とうとすると、ぴーっと私の足元で鳴き声がした。
さっきの浄化した呪霊だ。
私の靴紐を掴んでいる。
「さ、悟さんっ。」
私は悟さんの裾を引っ張った。
浄化したのは呪いの思いだけで“ガワ”は残っていたようだ。
「ん?…あれ、いたの?」
私の靴紐を引っ張って何かをアピールしている。
すると、私の後ろの方に走っていった。
「…?」
私は悟さんと顔を合わせて首を傾げた。
何匹かが集まって壁に集まっている。
ここ!ここ!と何かいいたいようだ。
「…。あそこに矢をうってみてくれる?」
「え?」
「信じてみよう。が浄化した呪霊たちを。」
私は頷いて、目を閉じた。
さっきみたいに胸に光を集める感じで集中した。
「…ふぅ。」
一度深呼吸して、矢を放った。
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「いやー、すごかったすごかった!」
「…。」
私たちは帰路についていた。
「領域も一級も何もかも消しちゃうなんてね。」
「……」
「あの小さな呪霊たちは弱点と、もう一体の隠れてる呪霊を教えてくれたんだね。」
「…うん。」
「気になる?」
「ううん。大丈夫。」
とぼとぼと歩きながら、教えてくれた呪霊たちのことを考えた。
あの小さな呪霊たちも一緒に私が消してしまった。
わかってはいてもなんだか切なかった。
「おかえりなさいませ、お二人とも。」
伊地知さんが車の外で出迎えてくれた。
「大丈夫でしたか?」
「うん、余裕だよ。僕の手にかかれば一発さ。帳、よろしくね。」
「はい、わかりました。ご苦労様でした。」
どうやら、私の件は報告しないようだ。
私にはそっちのほうが良かったから、悟さんの気遣いがありがたかった。