第12章 二人は
シャワーを浴びていると、「やっほー。」と、明るい表情で普通に入ってくる悟さん。
二人でふざけ合って洗いっこして遊んだ。
「悟さん髪の毛好き。」
「はいはい。見た目見た目。」
「見た目がいいのは事実でしょ?」
「まぁね。」
「褒めるところは褒めなきゃ。」
椅子に座った悟さんの後ろからわしゃわしゃと髪の毛を泡だてた。
泡でツノを作って遊んだり、堅苦しい七三分けにして遊んだ。
「七海みたいだな。」
「ななみ?」
「ん、僕の後輩。同僚だよ。」
「そっか。私あんまり他の呪術師の方と会ったことないもんね。」
「他の家のやつらには、は正式に僕の保護下の浄化の巫女ってことが知れ渡ったから、術師たちからは隠れなくても良くなったよ。」
「浄化の力しょぼしょぼなのに大袈裟になっちゃったね。」
わしゃわしゃと頭を洗いながら言うと、悟さんが笑った。
「めっちゃ強いです。怒らせると浄化で消し去るぞって雰囲気で歩けばいいよ。」
「そんなバカな。」
シャワーで上から流す。
気持ちよさそうにする悟さんが猫みたいに見えた。
「でも心臓のことは知らない奴もまだいるし、呪詛師はまだを狙ってくる可能性は高いから、そこは誰かのそばにいるようにしてね。」
「はーい。」
悟さんは後ろにいる私を振り返ると、胸元に視線を向けた。
「宿儺…傷残すなよ。へたくそ。」
私も胸の真ん中にあるナイフの跡を見た。
傷は塞がってるが、うっすらとピンク色にナイフの跡は残っていた。
悟さんは手を伸ばし指先でそこを撫でた。
そしてそのまま抱き上げると一緒に湯船につかった。
背中に悟さんを感じつつ私は力を抜いた。
悟さんはもう一度私の傷を撫でた。
「ふふ、くすぐったいよ。」
「ごめんな。」
「え?なんで謝るの!?」
「五条家のゴタゴタだから。」
「私が浄化の巫女だからだよ。」
「呪術界を変えなきゃなのに。」
「そもそも心臓がつながったのも私のせいだもの。」
「それは違う。」
「そうだよ。私を守りたい呪霊が悟さんを選んで巻き込んだ。」
私は心臓を抑えた。
「悟さんもごめんね。早く特級を倒して、心臓を解放しようね。」