第11章 二人の絆
闘技場の真ん中に、虎杖くん、啓明、私と並んで立っている。
私の場違い感半端ないけど、啓明に腕をずっと掴まれてるから仕方ない。
目の前の老人は紙を持って口上を述べている。
「次に、多治家が勝利した場合、禪院家の望みを叶えるものとする。五条家が勝利した場合、浄化の巫女の即時引き渡しをする事とする。」
…悟さん。私のためにこんなことをしてくれていたんだ…。
「勝利条件は降参、または戦闘不能とし、生死は問わないこととする。」
それを聞いて虎杖くんは気合を入れたのか、手のひらをパンチしていた。
紙を綺麗に畳むと、老人はまた建物の中へと入っていった。
ぎゅっと私を掴む啓明の手が強くなって私は顔を顰めた。
啓明を見ると、上を見上げている。
私もそちらに視線を向けると、観客席の一番上、広い席に悟さんがいた。
悟さんと横にもう一人黒髪の若い男性は少し特別そうな椅子に座ってこちらを見下ろしていた。
ーー…高いところで気付かなかった。
悟さんは椅子から立ち上がると、すっと右手をあげた。
「試合開始かっ!いくぞ!」
虎杖くんはどこか嬉々として後ろに下り、構えた。
「壁際にいろ。逃げるな。」
啓明に言われ私は急いで端っこに逃げた。
結界なのか、私の周りに何か幕のようなものがある。
確か、啓明は結界が得意だと言っていた。
虎杖くんと、啓明の戦いが始まった。
正直早すぎて私の目では追いつけない。
啓明は結界を鏡のように至る所に、配置してそこを移動して虎杖くんの攻撃をよけ、背後を取っては小さな攻撃を何度も繰り返していた。
しかし虎杖くんは全くそんな攻撃は効いていないようで、どんどん啓明の出した反射する結界を打ち破っていっていた。
私は手を差し出した。
「みんなお願いね。」
もう見えないくらい薄くなった3匹の呪霊。
ピッと小さく鳴くといなくなってしまった。