第11章 二人の絆
高専の広い広い敷地内の一角に、観客席のある闘技場があった。
一年の生徒達は五条に呼ばれそこに来ていた。
「また五条先生の気まぐれ?ここで何すんのよ。てかひっろ。」
「観客席で待ってろって言われたんだろ。」
野薔薇と伏黒は最前列の観客席に座っていた。
まだ誰も来ていない。
「虎杖は?」
「あいつは中に呼ばれたらしい。」
伏黒の言葉に野薔薇はげーっと舌を出した。
「アイツの模擬試合でも見させられんの?」
「さぁな。でも、最近あいつかなり強くなったから体術見てるだけでもいいと思う。」
「早すぎて私には参考にならんわ。」
手を振ってダルそうにしていた野薔薇は観客席の上の方に夏油がいることに気付いた。
「あれ、向こうにいるの夏油さんじゃん。隣に…は?」
「…え。あれ……五条先生?」
白い和服に白い羽織。黒いストールを巻き、サングラスはしていない。
髪型もいつもと違って、野薔薇たちは口を開け五条を見上げた。
雰囲気が当主そのものだ。
佇まい、空気、視線ーー…
呪術界御三家、五条家の当主、五条悟がそこにいた。
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私は腕を掴まれ高専に来ていた。
どこか闘技場だと言われた場所にきて、建物の中を歩いていた。
「俺から離れるなよ。離れたら殺す。」
「…はい。」
「先ほど聞いたが、対戦相手は五条悟の教え子だそうだ。まだ一年。これは勝てる。」
にやぁっと笑う啓明はどこまで行っても下品だった。
「高専の…一年?」
虎杖くんか伏黒くんか野薔薇ちゃんだ。
「俺が結界しか使えないと思って馬鹿にしてんだろ。クソが。」
ぶつぶつとずーっと文句を垂れている啓明を横に、私はキョロキョロと対戦相手だという一年生を探した。
「さん!」
「虎杖くん!」
悟さんのことだから、もしかしてと思ってた…!
「なんか昨日五条先生から連絡あってさ、ここで模擬戦してくれ。死ぬ気で勝てって言われたんだけど…なんでさんもここに?え、俺さんと戦うの?」
私はふふっと笑った。
相変わらずの明るさで安心した。