第11章 二人の絆
【五条side】
次の日。
御前試合に高専の決闘場を指定した五条は、朝から当主として準備をしていた。
白を基調とした着物を着て、髪の毛は少し後ろに流し、目は隠していない。
真っ白な中に美しい青が際立っていた。
「悟様、準備が整いました。」
「あぁ。」
五条は最後に真っ白な羽織に腕を通した。
「久しぶりに見たなその格好。」
「当主だからね。」
いい格好はしていても、やはり笑顔はいつもの五条だ。
夏油はふっと笑った。
黒いストールのようなものを首に巻き、五条と夏油は屋敷を後にした。
後ろから五条家の人間だろうか、着物を着た男性もついて来ている。
「悟さま。他家からの連絡でごさいます。」
「ん、何。」
歩きながら聞くようだ。
五条は軽く返事をした。
「今回の御前試合、禪院家の当主は参加を見送るそうです。代わりに多治家の当主に任せるとのことです。」
「ふ、やっぱり逃げたな。」
「それから加茂家は、京都からでは間に合わないため、任務のため東京にきていた、次期当主の加茂憲紀さまが代理で参加します。御当主さまは試合の結果に準じ保証するとのことです。」
「加茂家らしいな。」
結果が全てであり、勝者の味方をし、保証するという加茂家に五条は笑った。
「最後に、今日の御前試合のお相手は多治家の御当主本人が出られるそうです。」
「…そうか。」
文書には多治家のものであればいいとしていたが、当主本人がくるなら都合がいい。
「叩きがいがある。」
「御三家は悟と、次期当主の加茂憲紀くんの参加か。」
「そう。ま、そうなるよう時間を午前中にしたんだけどね。」
夏油は、心配そうに五条をちらりとみた。
「それで、五条家からはやっぱりあの子を試合に出させるのか?」
「ん?そのつもり。」
「手を貸すか?」
「宿儺はを気に入ってる。禪院家傘下に嫁いでみろ。宿儺のお気に入りとわかれば手放すさ。アイツらはどちらかと言えば悠仁の死刑賛成派だからな。」
「…うまくいくといいが。宿儺が素直にを助けるとは思えないな。」
「助けないかもしれないけど、それでも悠仁がいる。あの子は強いよ。」