第11章 二人の絆
私は両手を差し出して手のひらに3匹を乗せ、視線を合わせた。
《いつも…遠くから…みてたよ。》
頭の中に語りかけるように凛と響いて聞こえた。
「いつから?そばにいてくれたの?」
《ずっと…昔…そば暖かくて好きだった…》
小さい頃から一緒だったんだ…。
「ありがとね。そばにいてくれて。でも見れてなかった、ごめんね。」
《…力強くなった…そろそろ消えるね。》
「え?」
指輪のことだろうか。
自覚はしてなかったけれど、小さな呪霊たちには強くなったのかもしれない。
《最後に…一度だけ力を貸してあげる…そばにいさせてもらったお礼…》
「お礼?」
《僕たち…三人合わされば、一度だけ出来る。の呪いをーーー移動してあげる。一度だけ。力が弱い僕たちにできること…》
そう言って、3匹はまた部屋の隅の方へと隠れていった。
喋ることも力が必要なのかもしれない。
「…私の呪いを一度だけ移動する?」
私は自分の心臓のある胸に手を当てた。
「どういうこと?」
「失礼します。」
「は、はいっ!」
座り込んで考えていると、部屋の外から女性の声がして私は飛び跳ねた。
「ご夕食のご希望はありますでしょうか?」
希望なんて聞かれたことない。私は首を傾げた。
「最後の晩餐になるだろうから、好きなものを食べさせろと、啓明さまに言われました。」
「…むっ。」
本当に腹が立つ男だ。
「ステーキ!お願いします!!でっかいの!自分でナイフとフォークで食べるやつ!めっちゃでかいやつおねがいします!!」
私はヤケクソでそう言ってやった。