第11章 二人の絆
「よくて第二夫人、いわゆる妾だよ!お前は!あっはは!」
「五条さんがその条件をのむとは思えませんけどね。」
ぼそっと呟くと、啓明は笑みをぴたりと止め、私を見下ろした。
「じゃあなんだ。恋人であるお前を助けにくるってか?あ?」
「…。」
私は返事をせず、再び窓の外に視線をもっていき、もう話はしたくないという空気を出した。
「…五条悟の女かーーー…。」
「…っ。」
下品な声がしたと思ったら、顎を掴まれ前を向かされた。
「浄化か何かしらねぇが、非術師だろ。怖くともなんともねぇ。」
「…離してっ。」
「あの男の顔が歪むのが、見てみてぇなー。」
「…っ!」
にまぁっと笑う啓明に私はゾッとして、手で押し出そうとしたが、その手も掴まれ、私は啓明に口付けられていた。
「…ゃ!」
ぐっと口を閉じ、身を固くして、必死で拒否をした。
やだやだやだ。
暴れたくても着物でうまく動けない。
両手首を掴まれた押し倒され、頭上で手首ごと押し付けられた。
べろっと私の唇を舐めると、啓明はニヤリと笑った。
「どうせ結婚するんだ。味見だよ。」
「や…いや……っん!」
合わせられる唇に、私は固く口を閉じた。
「ちっ、口開けろ。」
顎を掴まれ無理矢理口を開けられると、舌をねじ込まれた。
きっと、私の心臓はバクバクと鳴っているだろう。
ーー…悟さんにもきっと私の心臓が伝わってるはず。
「や…たすけっ……」
ぽたぽた流れる涙に、無理矢理続けられる口付け。
「いいな、お前。」
惚けた顔の啓明はぺろっと自分の口を舐めた。
無意識にこの男も“美味い”と思っているかもしれない。
「啓明さま。」
「…なんだ。」
部屋の外で、女中さんの声がした。
「急ぎの書簡が式神によって届けられました。」
「…わかった。」
啓明は舌打ちをすると、私の上から退けた。