第11章 二人の絆
【side】
綺麗な着物に着飾られた私は、女中さんに連れられて、大きな障子の前に座らされた。
「この先にご当主様、啓明(けいめい)様がお待ちでございます。」
いつのまにか悟さんのお母様もいないし、女中さんもさっさとどこかに行ってしまったし…
ーー…え、ここ私が開けるの?
障子の前で正座して私はキョロキョロとした。
「入れ。」
男性の声が聞こえて来て、私はビクッとしてしまった。
「失礼します…」
ゆっくりと座ったまま障子を開けると、奥に一人男性が座っていた。
あの方が啓明さん…。
当主で私が養子に入ると聞いていたから、勝手に父くらいの年齢を想像していたが、たぶん私とそんなに変わらない。
ただ…意地悪そうな目をした人だと思った。
青みがかった短い髪に、ひょろっとした腕。
「お前が浄化の巫女、か。」
あ。嫌い。
とっさにそう思った。
声な感じ、喋り方、全てが威圧的で私を見下してる感じがした。
宿儺とはまた違う偉そうな感じ。
ーー…養子の件断ろうかな。
「五条の坊ちゃんに一泡吹かせられる存在…ねぇ。」
立ち上がり、私の前に立ち見定めるようにジロジロと見てくるその男に嫌悪感しかない。
「うむ、見目は悪くない。挙式は一週間後だ。」
「…え?」
私は顔を上げ、啓明さんを見た。
そんな話は聞いてない。
「養子になると聞いてたんですが。」
「養子?はっ、そんなわけがない。調子に乗ってる六眼のお坊ちゃんがそんなのことでうろたえるか。書簡を五条家に送った。俺たちは一週間後に夫婦だ。」
ケラケラと意地悪そうに笑う男は、私の頬をぺちぺちと叩いた。
「屋敷で大人しくしてろ。外部と連絡を取ろうとすると…」
「いっ…た!」
ガシッと胸の辺りを掴まれた。
「ここを潰す。しってるぞ。五条家との繋がりを。」
「…呪術界にとって、それは大きな損害と聞きましたが。」
私は手を払い睨みつけた。
「上のやつらにはそう言われたが、俺は知らん。気に食わん。とにかく五条悟が気に食わない。間違えて殺すかも知れんなー。くく。」
狂ったような目つきで私を見下ろす啓明に私はぞっとした。