第11章 二人の絆
ちょこちょこ歩き回っていた呪霊たちが急に立ち止まり、私たちの前で集まると、何かを差し出して来た。
「…なーに?」
私はしゃがみそれに手を伸ばした。
白い石のついた指輪だ。
「それ、もしかして。例の石か?」
「あっ。」
悟さんに言われ私は手のひらのある指輪を見つめた。
私の浄化の力を増幅してくれるという石なのだろうか。
「これを私にくれるの?…あっ!」
呪霊たちに話しかけると、呪霊たちは一斉に消えていった。
まるで役目を終えたかのように。
「特級が来て、大叔母が指輪を呪霊に預けたのを、もしかしたらずっと隠してくれていたのかもな。」
「そんなこと呪霊がするの?」
「…低級だし、普通はありえない。けど、キミらの浄化の力ではあるのかもしれない。実際,今それを見たわけだし。」
私は指輪を見つめた。
私に渡すために、大叔母は犠牲になった。
名前以外、顔も知らないし、会ったこともないけれど、陽の当たる縁側でいつも浄化された呪霊たちと過ごしていたということが、家を見てわかった。
私はゆっくり指輪をはめた。
「…どう?かわった?」
私は緊張しながら悟さんに聞いた。
実感はない。
「いや、呪力量とかは変わったようには見えないな。」
「…はめるんじゃないのかな。振るとか?」
ぶんっと振り回してみた。
悟さんは苦笑しながら首を振った。
「えー?浄化の力を増幅させるんじゃなかったのー?」
「宿儺はついになってるって言ってたんだろ?もう一つ必要なんじゃないか?」
「あ、そうか。」
一つじゃなんの意味のないのか…
ちょっとしょんぼりしながら私は指輪を財布にしまった。