• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第11章 二人の絆


仙台の時と同じように、駅に着いてからはタクシーを利用した。

岡山駅からは阿曽もそんなに遠くなく、市街地を抜けるともう山々が並ぶ田舎になってきていた。


「東京以外は本当自然豊かな場所だよねー。」

私はタクシーの窓から覗きながら言った。


「お客さん、観光?」
「親戚のおうちに行きたいです。」

タクシーの運転手さんに聞かれて、私は正直に話した。

「阿曽のどの辺?」
「それがわからなくて…探してるんです。」
「あそこは民家はだいぶん減ってきとるからねぇ。郵便局か農協の人に聞いたらしっとるんじゃないかい?」

田舎らしい優しい運転手さんだった。
個人情報がばがばではあるけれど、そこがまた田舎らしい。


「あそこは今通ったきた神社の巫女さんを輩出する地区だから、血筋に厳しいと聞くねぇ。しかしそのせいで人が減ってしまったらしいけど。」

「へぇ。巫女さんを…」

私はふわっと返事をした。

「鬼の窯があったり、鬼の城があったり、歴史深い場所ではあるけど、いかんせん人が少ないのぉ。」


人が少ないのは、私達にとっては好都合だった。
名前だけで探しやすそうだと思った。




■□■□■□■






私たちはタクシーを降りて周りを見渡した。

本当に民家が少ない。

「一応、ここが阿曽ではあるけれど、農協さんに行くなら少し山を下らんとおえん。どうする?」

「いえ、ここでいいです。名前は知ってるから聞いてみます。」

「民家は少ねぇゆーても、広いけん周りに聞くとええ。」
「はい、ありがとうございます。」


タクシーの運転手さんは私たちに手を振り帰っていった。


「岡山弁、可愛いねぇ。」

くすくす笑う悟さんにつられて、私も微笑んだ。

「優しい人だったね。…にしても、人いないねぇ。」

日中は誰も外に出ないのか、人が見当たらない。

たまに石碑がたってあって、“鬼”の文字や“吉備”などと書かれている。


「桃太郎伝説の言い伝え、本当にあるんだね。」

石碑を眺めながら悟さんが言った。
/ 423ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp