第11章 二人の絆
私は悟さんと出会って今までの数ヶ月のことを思い返した。
悟さんが実際に力を見せてくれたのは、あまりない。
あったのは、京都だ。
しかしあれは、私を殺そうとした特級が相手の時だ。
それ以外に…
「あ。」
思い出した。
「ん?何か思い出した?」
「初めて会った日。」
そうだ、あの時。
悟さんは私に手をかざし、ハムスターみたいな小さい呪霊を祓ってくれた。
「初めて悟さんのお屋敷に行ったとき、悟さん私の心臓のあたりに何かいるって祓ってくれた…。」
「あっ。」
悟さんも思い出したようだ。
「呪いをかけた、本体じゃないと思って祓ったけど、それはに浄化された負の感情ーー中身の無い呪霊だったのか…?それが、を隠していたやつ?」
あのキーキーと鳴いていたハムスターくらいの呪霊が、私を守って私の存在を隠してくれていた?
「…なんで守ってくれてたんだろ。」
「やっぱり、浄化されたからじゃないか?」
「宿儺が、小さい頃から私の周りには浄化された呪霊で溢れていたはずだって言ってたの。」
「…心地よくてのそばが良かったのかもな。だから、を食べようとしてる特級からも隠そうとした。」
「……。」
呪霊は人を殺す。
だから祓うべきであり、同情してはならない。
ーー…のみこまれるな。
“同情していたら、の心がもたないよ”
悟さんに言われて理解していたはずなのに、今となってはわからない。
私は膝の上で手を握りしめた。