第10章 二人で仙台
私は新幹線を降りて背伸びをした。
新横浜から約2時間。
「東北は初めて!」
「へー。良いところだよ。まずはご当地のもの食べなきゃ。レンタカーも。」
新幹線で神奈川の甘いもの食べてたのに、もう仙台の甘いもの食べようとしてる悟さんに私は笑ってしまった。
「の祖母の家だよな。住所見せて。」
「はい、これ。」
私は写真を撮ったスマホの画面を悟さんに渡した。
「そんなに遠くないな。タクシーで行っても良いな。」
スマホのマップを見ながら悟さんがいった。
祖母は母方で、私は葬儀の時に会ったのみ。
子供私だけで喪主をして、葬儀やら相続やらの手続きをして慌しかったのに、娘が死んだと言うのに、挨拶だけして帰っていった人だ。
「なんか…緊張しちゃう。」
私は胸を押さえた。
まぁ、ドキドキしてしまってるのは、悟さんの胸なのだけれど。
「仲悪い…ってわけではないんだよな?」
「そこまでの関係ですらないって感じかな。ほぼ他人。」
「じゃあ、さっさと済ませるか。その後美味しいものでも食べよう。」
「うん。」
私達はタクシー乗り場に向かった。
ここから1時間もしないで着くようだった。
タクシーの中で私は仙台の風景を眺めていた。
母はこの景色を見て育ったのだろうか。
なんで、自分の母親と疎遠になってしまったのだろう。
「ーー…私の母にも見えてたのかな。」
「ん?」
「あ、いや。祖母と疎遠になったのはもしかして母も呪霊が見えてたのかなって。」
「あー、可能性はあるね。祖母の妹が“阿曽”と呼ばれていたのなら、母方が阿曽巫女の子孫だからな。」
母が見えていたのか、祖母が見えていたのか。
母は仙台を出て、私を産んで神奈川の田舎に行った。
私に浄化の力があると知っていたから、静かな田舎にいったのだろうか…。
タクシーの中で、幼少期、母が過ごしてきたであろう景色を眺めながら、頭で色々な想像をふくらませていった。