第9章 二人で切り抜けろ
私達は今すでに新幹線に乗り込んでいた。
「あいつらのせいで2本は乗り過ごしたな。」
「…ごめんね。捕まっちゃって。」
仙台行きのグリーン車の席で私はしょんぼりしていた。
「次からは外歩く時は僕の視界に入れとくよ。」
「はい…。」
「しっかし、の力を崇拝する奴らまで出てくるとはなー。」
悟さんは新横浜で買った、レンガ形のお菓子を口に頬張りながら言った。
私も手渡され、封を切ってそれを口に運んだ。
甘いお菓子が今は心を落ち着かせた。
「5000万…って家建っちゃうよ。そんなに変な力なのかな。術師ほど力のバラエティに富んでないけど…。」
近寄らないと消せないし、強いやつには効かないし…。
「ちなちに僕は産まれた瞬間から,億超えてたよ。」
「ふぁ!」
オタクみたいな声が出てしまった。
「五条家から無下限術式が使え、かつこの六眼を持って生まれるのは400年ぶりだったからねぇ。」
「億っ!え、じゃあ今私が悟さん差し出したらそれ貰えるの?」
「…オマエな。」
悟さんは私の頬を摘んだ。
「まだ使えこなせない子供の僕なら殺せたかもしれないけど、今はもう無理だからそんなものとっくに取り下げられてるよ。」
「へぇ。その力使いこなすのに努力したんだねぇ。悟さんは凄いや。体術もすごいってことは、修行だらけだったんだろうな。」
「…。」
私が感心したようにそういうと、悟さんはまたむにっと私の頬を優しく摘んだ。
「…は嫌じゃなかったの?」
「ん?」
「呪霊ならまだしも、相手は呪詛師とはいえ人間。、さっき“自分の目で見る”って言ってたろ?」
私はさっきの光景を思い出した。
手をかざすだけで、流れる血。
痛がる喚き声。
血の匂い。