第9章 二人で切り抜けろ
悟さんは二人の男に手をかざすと、二人は手から血を吹き出し、変な方向に曲がっていた。
「懸賞金を取り下げろ。」
「ひっ…!」
「彼女の力は利用しない。」
「…ぁ…あ…」
ぼたぼたと血を落とし、顎を震わせる男にまた悟さんは手を向けた。
「最後だ。懸賞金を…取り下げろ。」
「わ、わかった!!わかったから!車にパソコンがある!」
「うん、そう思って君の右手だけ動けるようにしておいたよ。さ、今すぐ。」
震える足でバンに向い、男はノートパソコンを変な方向に曲がった左手は垂らしたまま、右手で血をつけながらキーボードに何かを入力し始めた。
その姿を悟さんは後ろから撮影していた。
「これを傑に送って、こいつの仲間も全部潰してもらおう。」
「す、すごいね。」
「殺してないだけあいつらにとってはいいほうだよ。」
は蹲りほぼちぎれかけの左手を押さえる黒い服の男を見下ろした。
「彼は?」
「死にはしないさ。あとは知らない。賞金稼ぎの呪詛師なんて碌なやつはいない。」
「……。」
呪霊を見ることができ、術式をもつほどの才能もあるのにーー…
「傷が治ったら、誰も傷つけない生き方をーー。」
そう言って彼の肩にそっと触れた。
「と、取り下げました。」
「うむ。」
スーツの男はパソコンの画面を私たちに見せてきた。
確かに締め切りが今日で終わってる。
「ひぃ、私の写真が出回ってる」
写りの悪い横顔がデカデカと画面にあって私は嫌悪した。
「まぁ、一回こうして懸賞金にかけられたから、どんな人間かと調べる呪詛師も増えただろうな。オマエのせいで。」
「ひっ!」
「次、その顔とそのスーツを僕の視界にいれたら、命ないから。」
低い声で悟さんがそういうと、スーツの男はバンに乗り込み、ものすごいスピードで駐車場から出ていった。