第9章 二人で切り抜けろ
「五条悟に気付かれたら面倒だ。もっとこっちで隠れてろ。」
ひょいっと持ち上げられ私は駐車場の影に座らされた。
すぐに殺したりするつもりは無さそうだった。
「依頼ってことは貴方は私を攫うだけの人?」
「あ?」
私は座ったまま目つきの悪い男に話しかけた。
「私を攫ってどうするの?」
「しらねぇよ。お前への懸賞金は“必ず生きたまま”って条件付きだったからな。それで5000万だ。」
け、懸賞金!?
ワンピースじゃん!初期のナミより高いじゃん!
「驚いてるが、死体は1000万だぞ?殺せば1000万、連れ去れば5000万。良い女だなお前。」
私が驚いていると、一台の大きな白いバンがやってきた。
「やっと来たか。早くしろよ。五条悟が来たら全員殺される。」
出てきたのは、真っ白なスーツを着た金髪の男性だった。
新郎みたいな人だな。と率直に思った。
「この娘ですね?浄化の巫女は。」
「写真の女だ。それより五条悟が相手だとなぜ言わなかった。それであの金額は安すぎだろ。あぁ?」
「いやいや、五条悟から攫うから5000万なのですよ。妥当です。」
何やら話し込んでいる。
私は手首にロープが巻かれたまま、人差し指の爪を齧った。
噛み切って、爪を尖らせた。
ーーー…悟さんに場所を知らせないと。
彼らから見えないように私はズボンの裾をまくった。
尖らせた爪を自分の足首に立て、血が滲むように強く強くーー、でも表情には出さないように字を書いた。
『チカシロイバン』とーー…