第9章 二人で切り抜けろ
「…?」
フロントでカードキーを返していると、ふとの呪力が消えたことに気づいて五条は振り返った。
サングラスを取り払い、周りを見渡したが、の呪力が見当たらない。
それどころか残穢もない。
「何か呪物を使ったのか。」
ちっと、舌打ちをする五条。
はどうやら呪力を見えなくするか、消す呪物を待たされたようだった。
「ーー…どこだ。」
五条だけが狙いならすでにの心臓をつぶして殺してるはずだ。
それをしないってことは、何か五条と交渉するつもりか、はたまたの浄化の力が欲しいのか。
「鎖で繋いでおけばよかったな。」
そんな物騒なことをつぶやきながら、五条は目を凝らした。
どこか何か呪力の変化を見ようとしていた。
「…?」
ふと、五条は自分の足首に違和感を感じズボンの裾をまくった。
『チカシロイバン』
赤く滲む血。
それを見た五条はにやっと笑った。
「やるじゃん、。」
ズボンの裾を戻し、五条は立ち上がると地下駐車場へと繋がる階段に物凄い足の速さで飛び降りていった。
■□■□■□■
私は軽く持ち上げられ運ばれていた。
手首と足首にはロープが巻かれている。
フロントから直接降りてこれる地下に来たようだった。
ドサっと下ろされたのは駐車場のようだった。
私はどこかにメールを送っている男を見上げた。
黒い服にマスク。
明らかに怪しい。
「あっ…の!」
声が出る。私の口を閉じさせる術はもう解いてあるようだった。
「今、依頼人が迎えにくる。黙ってろ。」
ーー…依頼人?
「ちっ、高いから受けた仕事だったが、そばにいるのが五条悟とか聞いてねぇぞ。値段ふっかけねぇと気が済まねぇ。くそが。」
ぶつぶつと携帯を弄りながら文句を言っている男を私は地べたに座って見上げていた。