第8章 二人で一緒に
耳を撫でていた悟さんの手が私の後頭部に回った。
下から悟さんが近づいてきて、そっと軽く触れるキス。
悟さんは私にまだ拒否できる猶予を与えてくれてるんだと思う。
ゆっくり探るように、私に触れてくれた。
「…ドキドキする。」
悟さんの鼓動ーー…
「のせい。」
「…っ。」
下から見つめられる視線が熱くて、目がそらせない。
「ごめん。もう止まれない。」
「……んっ」
後頭部に回ってた手を引き寄せられ、重ねられた唇は激しく私を求めた。
「んんっ…」
私は着いて行こうと必死だった。
悟さんの二の腕に手を添え、絡められた舌を差し出した。
こんなに優しい悟さんだもん…
ちゃんと私の事も考えてくれてるし…
私にドキドキだってしてくれてる…
だから、宿儺が言ってたみたいに、私の血や唾液のせいで私に惹かれてるわけじゃない…
「はっ……ん…」
ちゅっと音を立て、離れた悟さんは嬉しそうな表情で舌なめずりして私を見下ろした。
「…最高。やっぱりこれだよな。」
「えっ……お、美味しいの?」
私はぺろっと私の唇を舐めてくる悟さんに驚いてそう聞いてしまった。
「あぁ、早く食べたい。」
それを聞いた瞬間、私は決壊が崩れたように涙がどばっと流れ落ちた。
「や…やっぱり……」
「え?え??」
「食べ物としか見てなかったんだ」
ぐじょぐじょになった顔で私は悟さんの肩を叩いた。
今は呪術は解いてるのか、触れることができる。私はこれを機に右手をグーにして3回ほど殴ってやった。
かたい筋肉が憎らしい。
「どうした、っ。」
悟さんは私の右手を掴み、そう言った。
「やだ!キライ!2度とキスしない!」