第8章 二人で一緒に
シャワーから出てきた悟さんはホテルの部屋着に着替えていて、手足が長いためちんちくりんにみえた。
「足長いねー。丈足りないね。」
「たいていそうだよ。」
髪の毛をガシガシタオルで拭きながらいう悟さんは色気が凄まじかった。
「じゃあ、私もシャワー行ってくるね。」
あまりに悟さんを見てるとまた心臓が高鳴りそうで、私は見ないようにしながらシャワーに駆け込んだ。
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シャワーからでて、髪の毛を乾かし、顔を整える。
部屋に戻ると、悟さんはドア側のベッド座り、枕にもたれかかってスマホを触っていた。
座ってると言うのにベッドが小さく見えて、寝たら足が出てしまうのではないかと思った。
「お揃いの服なのに、全然違う服みたい。」
私は自分の足元を見た。
足首までちゃんとある部屋着。
「お揃いって…ホテルの服じゃん。」
ドキッとした。
「……え。」
ドクッドクと心臓が強く鳴ってる。
私は悟さんから目をそらした。
だって…この心臓は悟さんの鼓動だ。
夜、情事をする時以外にここまで心臓がうるさいのは初めてだ。
チラッと悟さんを覗き見た。
いつもの表情でスマホを見てる。
でも、心臓はーー…
「…っ。」
悟さんは自分が心臓が高鳴ってることに気付いていないのだろうか。
私は部屋の奥側のベットに悟さんに背を向けるように座った。
「たくさん運転、ありがとね!」
私は何か話題を、と捲し立てるようにそう言った。
何か言ってこの悟さんの心臓を鎮めたかった。
私の心臓もきっとドキドキしてるだろうが、それはいつものことなので悟さんは特に何も言ってこない。
「ま、僕は疲れないからね。筋肉疲れや脳の疲れ、全部すぐ回復させられるから。」
淡々と話す悟さん。
私にはよくわからないけれど、きっとそれも呪術関係で治せるのだろう。
「でも気持ちは回復できないんでしょ?気疲れとか…最強最強って言われる、その…プレッシャーとか?責任たくさんで大変だよ。」
休めるといいんだけどねーなんて、言いながら笑っていると、悟さんはスマホを置いて私をじっと見ていた。
いまだに心臓ががうるさい。
「じゃあ癒してよ。」
「…え?」
「が癒してよ。」