第8章 二人で一緒に
私は指を悟さんに向かって突き出した。
全然当たらない。
「ところで、元カレのバスケ部キャプテンってうまかったの?」
「えっ!?何が!?そんなこと聞く!?へ、変態!」
私は自分の肩を抱いて一歩下がった。
「いや、何勘違いしてるの。バスケうまかったのかって聞いたんだけど。」
「……あ、そっちね。」
「そっちしかないでしょ。どっちが変態だよ。のえっち。」
私は顔を真っ赤にして、悟さんに睨みつけた。
「バスケ!上手かったよ!県代表選手に選ばれてたし!」
私は誤魔化すように少し声を荒げていった。
「まぁ、僕の方がうまいだろうね。」
「対抗心出さないでよ。高校生の時だよ。ていうか、悟さん浮けるんだからボールもゴール簡単なんじゃないの?」
「…何でわかるの。」
心外だとでも言うように拗ねるのが面白くて、くすくす笑ってると、悟さんは次々アルバムをめくり始めた。
「恥ずかしいからっ。」
私はぐっと悟さんの肩を押そうとしたが、なんとかって術式のせいで触れることができなかった。
「あ、そっか触れないのか。」
ぽそっと私がつぶやくと、悟さんがそっと指の裏で頬を撫でてきた。
「僕からは触れられる。」
サングラス越しに目があって、私は目を逸らしてしまった。
「あ…手帳見つかったの。仙台の祖母の住所、わかったよ。」
私はパラパラと手帳をめくった。
さっと避けたせいで、頬が冷たく感じた。
「……。」
上からの悟さんの視線が痛い。
「仙台まではどうするの?新幹線?」
「そうだな。だいぶ暗くなってきたから、横浜まで帰って明日新幹線で行こう。」
私に触れていた手を下ろし、悟さんが言った。
私は臆病だーー…
いまだに一人もやもやと考えてしまってる…。