第8章 二人で一緒に
私たちは神奈川の西部。山が連なる田舎の方までやってきていた。
私の実家がある。
両親は数年前に事故で他界している。
私は仕事のために都会に出ていたが、実家はなんとなくそのまま残していた。
「あそこの空いたスペースに停めて大丈夫。」
「おっけー。」
自分の実家にまさか悟さんと来るとは思いもしなかった。
「来るのは一年振りだから…ほこりとかすごいかも。」
「大丈夫。」
一年に一回か二回はなるべくきて、空気の入れ替えや軽く掃除はしていた。
二人で車を降りて私はカギを取り出した。
「…すごいなここ。」
「何にもない田舎でしょ?コンビニまで車で30分。」
玄関を開けながら言うと、悟さんは周りを眺めていた。
「違う。空気がかなり澄んでる。」
「んー?自然豊かってことじゃなく?」
「あぁ。の白い呪力が残ってる感じだ。」
サングラスをくいっと上げ、私の家を見つめていた。
「浄化の力か?呪力のくせに綺麗とかわけわからん。」
私にとっては普通のことで、家は何も変わらない。
「くつろげはしないけど、好きにしてて。私、香典まとめたやつ見てくるね。」
私の祖母の住所が書かれてるはずだ。
仙台のほうってことは覚えてる。けれど、詳しくはしらない。
気難しい人だったらしく、母はあまり祖母…つまり自分の母に会いたがらなかった。
だから、私もあまり会ったことがない。
祖父の話は聞いたことがないから、すでに他界したかどうかも知らない。
仏間の引き出しをあけ、手帳を取り出した。
「えーーっと、母方の苗字だから…」
「!!」
緊迫した声に私は立ち上がった。
悟さんが大声で私を呼んでいる。
手帳を待ったまま私は慌てて声がした方に向かった。
誰かからの襲撃なのだとしたら,私は悟さんのそばにいた方がいい。