第1章 二人は一緒
五条さんに連れられ一つの大きな部屋に入った。
私が住んでいた部屋よりも大きい面積だ。
ここに来るまでの廊下も長かったが、このお屋敷、いくつお部屋があるのだろうか。
「さっきの間に用意させたんだ。もともとあったお客用の部屋をちゃんにあげるね。」
「わぁ。」
感動した。
和モダンな感じが私の好みぴったりだった。
日当たりも良くて最高だ。
「気に入ったようでよかったよ。」
「いいんですか?」
「もちろん。使ってなかったしね。安心して、掃除はしてあるから。」
お手伝いさんがね。と、続けた五条さんに私はくすりと笑った。
まるで自分がやっているかのように言うのがおかしかった。
五条さんって、明るい方だと思う。
だって、知らない私をこうやって笑って招き入れてくれたし、いくら私が保護対象だからってここまでしてくれるのは、きっと彼が優しいからだろう。
もちろん私が死んだら困るってのもあるんだろうけれど。
「この部屋には奥にバストイレと、備わってるからそれを自由に使って。洗濯も朝出してくれたら洗うから。」
「えっ、自分のは自分でします!」
「だーいじょうぶ。僕は洗わないよ。プロに全部任せてるから気にしないで。」
そうは言われても気が引ける。
「あとから…費用とか……」
莫大な費用を請求されても、薄給の私にとてもじゃないが払えない。ほぼ推しに課金してる。
「あははっ、いらないいらない。むしろお仕事行けなくなったキミに最後払わなきゃね。」
私の部屋には入ろうとせず、扉に肩をもたれるように立つ五条さんは笑いながらそう言った。
「ここでお仕事とかあれば何でも手伝います…。」
あまりの天国具合に逆に萎縮してしまい、私はそう言ったが、五条さんは首を振った。むしろ今はここに隠れていて欲しいようだった。
「僕には敵が多いから、ちゃんの行動を制限してしまっちゃう。映画とか色々用意させるから。」
私は壁にかかった大きなテレビに目を向けた。
「あの…ここってインターネット使えますか?」
「もちろん。」
私は五条さんのその言葉にうきうきとした。
推しを大画面で観れる。
仕事行かなくていい。
家事もない。
「ねぇ。」
「えっ、はいっ!」
「すんごい心臓ドキドキしてるんだけど。」
「へっ!?」