第1章 二人は一緒
くっくっと笑う五条さんに私は自分の心臓を押さえた。
私はドキドキしていない。
ワクワクして、大画面で推しの配信を観れると思ったらどうやら五条さんの心臓に伝わってしまったらしい。
「す…すみません。」
「なんか変な感じだね。勝手にドキドキしてる。」
「…恥ずかしい感じです。」
私は深呼吸をした。
「あまりに天国な暮らしにすこしワクワクしちゃいました。」
「うん。ちゃんの好きに過ごしていいから。んじゃ、僕はちょっと色々調べたり、他の呪術師と連絡するから、自分の部屋に行くね。ちなみに、出て右隣が僕の部屋だから。」
「はい、わかりました。」
「これ、僕の携帯。連絡先ね。隣でも部屋から出ないで、何かあれば僕に連絡ちょーだい。」
それじゃ。と、五条さんは部屋を出て鍵をかけていった。
ーー…鍵あるんだ。
閉じ込められてるじゃん、私。
外鍵のある部屋って、あるんだ。
明るく去りながらもやることヤバいな…と思いながら、私はソファに腰掛けた。
飲み物もお菓子もあるし、トイレもお風呂もある。
食事はきっと時間に届けられるんだろう。
あわよくば引きこもりたいと思っていた私にとって最高のシチュエーションだ。
もうすぐ夕方。
私は机の上のリモコンに手を伸ばし、早速YouTubeに繋げるのだった。
私達の出会いは偶然で、
何も知らない私は、五条さんの周りの世界を想像すら出来ていないのだった。