第7章 二人のこれから
悟さんは木にもたれかかり、指をピンと立てた。
「ひとつわかったことは、は人の心に関係する呪いしか浄化出来ないってこと。」
「人の心?」
「そ。しかもその中でも“恨み”、“後悔”、“悲しみ”、そういった負の感情に対してのみ。」
私は小さく頷いた。
わかったような…わからないような。
まだ根本的な呪霊を理解しきれていない私には難しかった。
「ムカデみたいなやつは祓えなかっただろ?」
「うん。」
「あれは見た目通り、ムカデの呪霊だ。そういったのは浄化できない。そして、二つ目の黒い呪霊。あれは悪夢の呪霊。は“恐怖”という感情も浄化出来ないみたいだね。」
悟さんはさらに続けた。
「文字通り『浄化』なんだよ。その力は。気持ちを綺麗に浄化し、想いを晴らすんだ。」
「……そうなんだ。」
「天国に行くみたいって僕がさっきいったけど、本当にそんな感じなのかもしれないね。」
目を閉じ、空気に溶けるように消えていった呪霊を思い出した。
「呪霊にも…心があるんだ。」
「…。」
私が呟くと、悟さんが低い声で私を呼んだ。
「そうだとしても、呪霊は人を殺す。どんな呪霊でもだ。同情してたらの心がもたないよ。」
厳しい言い方だけど、真実だ。
悟さんの言うとおり。
呪霊が人を殺しそこからまた呪霊が生まれる。
そのために呪術師たちは命をかけて戦ってる。
近くで見てきたじゃないか。
「うん。同情しない。悟さん、私もこの力でできることをしたい。」
私が手に拳をつくりそう言うと、悟さんはにっこりと笑ってくれた。
「うん。でも、まずは僕との繋がりを絶ってからだね。は表に出られないから。」
そうだった。
心臓が繋がってるかぎり、私は五条悟の弱点なのだから、今は何も出来ないんだ。