第7章 二人のこれから
悟さんはしばらく進むと、森の茂みを指差した。
「あそこ、見える?」
「はい。」
白く隠れる様にいる小さな呪霊。
「今僕は呪力を抑えてるから、僕から逃げることはないと思う。から近づいてみて。」
「…はい。」
どきどきする。
「あれは4級のちいさいやつ。前と同じだからきっと浄化できる。頑張って。」
私は頷くとゆっくり茂みに近づいた。
目がたくさんあるーー…。
けれど、怖くはなかった。
子猫くらいの小さい呪霊は私と目が合うと、じっと動かずこちらをみていた。
「…前もだったけど、動きを止めるね。」
後ろで悟さんが呟いた。
両手を伸ばした。
触れるより前に、呪霊は目を閉じ、空気に紛れていくかのように消えていった。
「改めて見るとすごい力だな。」
「…うん。」
なんだか、自分が消しているのだと思うと、少し怖くなった。
「少し大きいやつのところに行くよ。平気?気分は。」
「大丈夫。何ともないよ。」
いくら悟さんに緊張しているからといっても、やる事はやらないと。私は悟さんを見て、頷いた。
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「次はあれ。」
私よりも少し大きい、ムーミンの様にどっぷりとした形の呪霊だ。
ムーミンといっても、見た目はとても気持ち悪い。
私はその見た目にちょっと後退りしてしまったが、ゆっくりと近づいた。
相手は私に気付くと一瞬逃げようとしていたが、悟さんが手を伸ばすと、何も出来ないのかピタッと止まって動かなくなった。
「僕が逃げないよう止めとくから。」
「うんっ。」
私は小走りに近づいた。
やっぱり同じ様に目が合うと、力が抜けた様に動かなくなり、触れそうになると呪霊は消えたいった。
「このくらいなら余裕で浄化できるんだな。そりゃから逃げるよな。」
さらっと消えていく呪霊たち。
私は空を見上げた。
「まさに“浄化”だな。天国に行くみたいな。」
ーーー…呪霊たちは消える時何を考えているんだろうか。
私はふとそんなことを考えた。