第6章 二人?でアオハル
「はぁ…はぁ…ぜぇ…」
床に大の字になって、ボロボロの虎杖くんに、まだまだ余裕そうな悟さん。
「うん、前よりいいんじゃない?」
「ほんと?」
「呪力も一気に溜まることできてきてるし、あとは攻撃する瞬間、拳にもう少し呪力を圧縮させる感じで。ぐわーーっと。わかる?爆発的に攻撃力上がるから。」
「なんとなく…わかった。」
すごい、本当に稽古してる…。
「次は物を使ってやってみようか。短剣あたりがいいかな。」
「前の呪物みたいなやつ?」
「今回の稽古には使わない。勿体無いから。とりあえず扱える様にならなきゃね。取ってくるよ。」
休憩してて。と、悟さんは道場から出ていった。
私は荷物から水のペットボトルを持って立ち上がった。
「虎杖くん、すごいね!先生から聞いたけど、呪術師なったばかりなんでしょ?」
私が虎杖くんに水を渡すと、床に座りにかっと笑った。
「稽古しんどいけどな!」
「呪術師って体術も必要なんだね。大変だ。でも五条先生褒めてたよ?センスありまくりの生徒だって。」
「マジで?嬉しいな。」
本当に嬉しそうに笑う虎杖くんは、本当にいい子そうで私は微笑ましく思えた。
「先生もよくさんのこと褒めてたよ。」
「えっ!?」
それはあまりに意外で私はちょっとワクワクしてしまった。
褒める?
何をだろう。
「おっぱいデカいって。」
私は虎杖くんから返してもらったペットボトルを握り潰した。
あはは!と、笑う虎杖くんに私は恥ずかしくて顔を逸らした。
あの男、生徒になんってこと言ってるんだ。
だから野薔薇ちゃんにあんな軽蔑されてるんだ。
ワナワナと震えていると、目の前の虎杖くんが急に目に力がなくなり、どさっと床に倒れ込んでしまった。
「えっ、虎杖くん!?」
肩をゆさゆさ揺らしても反応がない。
「ど、どうしよう!虎杖くん!!」
『手を離せ、小娘。』
聞こえてきたのは、虎杖くんからで。
でも、全然知らない声だった。