第95章 一緒に個展を開こう！　〜半年後　2025年3月〜　

　
　智&梨良　デート

　梨良side

　私と智くんは、4月から美術大学の4年生になるの。春休みももうすぐ終わり。智くんと絵画展に来ているの。キラキラと瞳を輝かせて 一つ一つ丁寧に絵を見つめている智くん。

　私、今でも信じられないよ？智くんと……

　智side

　オイラ気が付いているんだよ？俺と梨良ちゃんは想い合ってるよね。けど、ずっと俺の態度が曖昧だったりしたからさ、諸手を上げて恋を楽しむには、一抹の不安がさ心の中にあるよね？

「いつか個展開きてぇなぁ」

「素敵！楽しみ！絶対に一番の客として会場に入ろう！」

「梨良ちゃんが一番初めのお客様に決まってんじゃん？」

「智くん？」

「違うでしょ？『お客様』じゃないでしょ？梨良ちゃんは全ての作品を一番に見る事が出来る、特別な人なんだからね？」

　梨良side

(私、智くんの作品を一番に見れる人間？)


　優しいね。智くん。いつだって私の不安や、悲しみ。楽しみにワクワクしている事だって、いち早く気が付いてくれる。


「ありがとう。智くん」


「梨良ちゃん。いい加減自覚しようか？キミはボクの想い人『優しく微笑むキミ』を見つめる『キミを見ていたいのはボク』なんだよ？