Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第6章 会話筒抜け
『親父が仕事で週末帰れないって、連絡寄越して母さん荒れてんだよ!』
「俺が顔出したら、益々荒れるだろうが!飲んで気分良くなってたのに!」
『もう、ホント無理!行こう!』
って、友達と2階に上がって行った……
アレ?俺、あの娘(こ)の名前聞いてないじゃん!大野さんが『サクショウ』って呼んでたけど。なんてアニキと揉めながら冷静な自分がいてさ。
(あぁ、俺のこういうトコがあの人が嫌いなのか……)
-トントン-
ん?誰よ?肩叩くの?
「何よ」
「スマホ、会話筒抜けだよ」
って大野さん。
「は?あ、マジ?」
電話の相手がアニキで、イラッとしたのか、スピーカー機能まで押したのか?
「「カズのコ」と「ジュンアニ」は相変わらずか……」
相葉さん、笑えねぇよ。てか、「カズのコ」とか
変なあだ名辞めろよ!
「アニキは、相葉さんのアニキじゃねえよ」
なのに、バカな返ししちゃってさ。
『雅紀!「ジュンアニ」は辞めろ!』
マジだよ。アニキのバカデカい声が、部屋中に響き渡ったし。
「揉めてる場合じゃないでしぉ?母ちゃんがお茶入れてくれたからさぁ」
「揉めてる原因は大野さんでしょうが!酔っぱらいのアンタを送って来たんだから」
「あはは。間違いないね!」
「智!」
「カズ!すみません。お茶入れて頂いたのに。もうこれ以上迷惑かけらんないんで、今日のところは帰りますね」
相葉さんがチサさんに謝ってくれてさ。
確かに、このカオスな空気を作った原因は大野さんだけど、その空気をもっと悪くしたのは、俺とアニキで。
「智くん。酔っていないのに、酔っぱらいのフリ……何考えてるの?」
とにかく!もうすぐ日付も変わるし「改めて謝罪に伺います!」と 叫ぶように言って、俺と相葉さんと、梨良ちゃんは大野さんの家を後にしたんだ。
やっぱり、梨良ちゃんも気が付いてた通り大野さん酔ってなかったんだね。
(あ、結局。あの娘(コ)の名前だけ「サクショウ」のままだ……)
なんて考えながら。
(待ってろよ!バカアニキ!)
俺は、事を大きくしたアニキに毒付いた……