• テキストサイズ

Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜

第50章 心がギュって痛くなったの……



 遊びに行く気分じゃなかった。とにかく、家から離れたかった。

「だって、私なんかいたって……喜ばないもん」

 外に出たはいいけど暑過ぎて……家の近所にあるファミレスに入って……

 スッ。急に目の前が暗くなってビッグりして。

(まさか……あの人達が追っかけて来たの?)

 怖いっ……恐る恐る視線を上げるとそこに立っていたのは。

(松本さん?)

 違う意味でビッグリしちゃって。

(な、なんで?)

 視線を下に……自分の右手が見えて……慌てて 手を引っ込めると。

『楓未奈ちゃんゴメンね。座っていい?」

 って、言うと目の前に座った松本さん。


(座っていいも、ダメも言ってないよ)

 そんなバカな事を考えながら。ちょっと怖くて。私は、目の前に人が立ったりとか、近くに来ると何も話せなくなって身体が強張ってしまうから……



「一昨日、昨日と本当にゴメンなさい」

 緊張していた私に松本さんが。そう声を掛けて来たの。

 顔を上げて。一瞬の間の後。慌てて私は。

「い、いぇ。あの……私こそすみませんでした。初対面の方に酷い事……」

『母親に愛されて幸せなはずが「俺だけ」とか、甘えたな人か』

 本当に酷い事言ったよね。下を向いて無意識に左手で右手をさすっていた。

(落ち着け)


 暴言なんて思ってない。私が悪いんだもん。けど。

『いや、俺も『は?キミは!親に食事に、学費代、色々おんぶに抱っこの甘えたな女のコだろ!』って暴言吐いたしさ。まぁ、当たってるんだろうね』

「まぁ、当たってるんだろうね」


 の言葉に心がギュって痛くなったの……
/ 121ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp