Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第43章 うん。しか言えない自分が情けなかった
うん。しか言えない自分が情けなかった。
「『親の都合で振り回されるなんて!私も楓未奈もたくさんなの!自分たちの人生を生きるんだから!』って叫んだの」
「うん」
「『私も未唯彩も18なの!大人なの!ここまで育ててくれてありがとうございました。 だからもう、自分たちの人生歩んで下さい!』楓未奈も叫んだの」
「うん」
『大人』の……『教師』の役割は『そんな日非現実的な事』とか『もっとよく話し合え』とか言う事?……けどさ。ここまで追い詰められてる子たちにそんな事言える?
「ぷちんっ、と糸が切れたみたい。繋いでいた私たちの手を無言で引っ掴むと、綱引きみたいに引っ張ったの。私は父に。楓未奈は母に」
「可哀想に……痛かったな」
俺は、横になって両手を上に上げて、顔を覆っているためか 、黒いブラウスから見えている白い包帯を巻かれた左腕を……未唯彩の左腕そっと撫でていたんだ。
「あ、相葉センセ?」
瞬間、焦ったように叫んで、自分の左腕から俺の右手を離そうとする未唯彩。
「未唯彩も楓未奈も、制服は長袖のブラウスか長袖の体操着だったね」
「……」
「未唯彩。楓未奈も。気が付いてやれないでごめんなさい」
「相葉センセ?」