Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第36章 違和感……
「今日からお盆までは忙しくなるよ。あだ名に関しては俺のシュミだから諦めなさい」
ハマミサのデジャヴ。なセリフに俺はちょっと言葉を変えて返してあげました。
(ん?)
違和感……
ハマミサは頬杖ついてたんだけど、俺の位置から見える左腕……ブラックの薄手の長袖ブラウスから見え隠れしているのは?頬杖に疲れたのか?それとも…… ハマミサは一瞬表情をしかめると頬杖を解いて。
俺は体育館を離れて、ハマミサのいる教室に向かう事にしたんだ。
-ガラッ-
(暑ッ)
本来夏休みで、使用しない教室に生徒がいるのだから当然、冷房設備なんて稼働していないわけで。頭から湯気が出そう!って比喩したくなる猛暑日の教室に居たら……
(ウチの学校は、教室に天井設置型の扇風機を各教室に2台ずつ設置しているんだ)
「顔真っ赤じゃないか!未唯彩!いつからこんな暑いトコにいたんだよ?」
真っ赤な頬をしている、彼女の右隣に立つと。
ハマ……いや、未唯彩は俺の方に、だるそうに視線を……送って来て。
俺はここに来る前に自動販売機で買った、スポーツドリンクを未唯彩に渡し、団扇(うちわ)で風を送ろうと。
「……すみませんでした。帰ります」
すごい、ちっちゃな声でそう言うと、未唯彩は椅子から立ち上がって。一步、右側にズレた瞬間。
フラっ
「危なっ!」
フラついてバランスを崩した未唯彩を、俺は慌てて。団扇なんか抛り出す(ほうりだす)と……左手で彼女の左手首を掴み……支えるために……抱き止める形になったんだよ。
「痛っ」
そう、ちっちゃく言った未唯彩。
「ゴメンっ」
慌てて手首から手を離して、とにかく俺はもう一度未唯彩を席に座ら座らせると。
助けるために不用意に掴んでしまった左手首には、包帯が巻かれていたんだ……