Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第26章 智くんって、やっぱり凄いや
「結翔ちゃんは戸惑いながらも、安心したように微笑んでいて、カズくんは守るからって、全てを包み込む様に優しく微笑んでる。綺麗な横顔だね」
ファミレスでの一場面みたい。数時間前に話を聞いただけで?こんなにも2人の心情を表す絵を描けるなんて……
(智くんって、やっぱり凄いや)
「良かった。結翔ちゃんが自分の気持ちを話せる相手と出会えて」
「優しいね。智くんも心揺さぶられる思いをたくさんしたのでしょう?だって……」
「うん。中学卒業してさ。高校生活だってちょっとワクワクしてたんだ」
「うん」
「両親があまり上手く行って居ないのも分かってた。だからって……オイラが中学卒業するまではガマンしてたんかな?」
「……智くん」
「母ちゃんは、結翔ちゃんのお父さん、永翔(えいと)さんを中学、高校と好きで。彼女のお母さんの茉結子(まゆこ)さんとは親友で『2人を応援してた』って母ちゃんが話してくれたんだ」
「うん」
「この前の修羅場の後、結翔ちゃんが永翔さんとわだかまりがなくなるまで話し合った様に、俺にさ母ちゃんは……」
智くん……オイラじゃなくて『俺』って。瞳に涙を浮かべながら話してくれた智くん。私が泣いてる場合じやないんだ。
(智くん。とても大切な話を私に……)
なんて言ったらいいんだろう?ありがとう……?こんな時に、話してくれて……嬉しかった……
(私ってバカだ……)
智くんの様に。カズくんの様に。
(大丈夫だよ!)
って、大きな心で人の心に寄り添える人間になりたいよ……