Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第17章 悲しき叫び
結翔ちゃんは可愛らしい、黄色のショルダーバック?からマスクを取り出して装着してさ。俺もマスクをリュックから取り出して付けて。
淡い赤色のギンガムチェックのワンピース。ウエストマーク?っていうの?がアクセントになっててさ。
(可愛いいな)
なんて考えてた自分を殴りたくなったんだ。結翔ちゃんの切ない話に。
「4年前、2020年9月10日木曜日。いつもの日常だと思ってた。中学2年生で13歳。1月で早生まれだから……」
(なんか、支離滅裂、伝わってるのかな?もう、 話下手な自分、本当にヤダっ)
「伝わってるよ。大丈夫」
(なんだろう?二宮さんて。なんでこんなに気持ちを分かってくれるの?)
(いじらしいんだ。結翔ちゃんが。こんなにも切ない話「聞くよ 」なんて軽々しく言ってごめんね)
「学校で、幼稚園からの親友の未唯彩と楓未来とくだらない話して。午後3時半(15時)、心の中で『夕飯何かな?』早く大好きな母に会いたい!って。2人のご両親仲悪いから……」
「うん」
「担任から『今、警察から連絡が来てお母さんが○○病院に』父からは、メールで『今、学校に向かっているから一緒に』って。頭真っ白になって」
「……うん」
涙が出た。心が痛くて、結翔ちゃんが可哀想で。アイスコーヒーのグラスに両手を添えてたんだけど。
-カタカタ-
慌てて手を離して、同じ様に手を添えていた結翔ちゃんも-カタカタ-って。2人して、同じタイミングで心落ち着かせる様にアイスコーヒーを一口飲んで。
「母は、車の免許が無いから歩いてスーパーに。帰り道…青信号で横断歩道渡っていたのにっ」
しばらく、ちっちゃく嗚咽をもらしていた結翔ちゃん。抱えていた日記帳の1ページを開いて差し出して。
『ゆいか。しあわせに……ずっとあいしてる』
乱れた文字。ひらがなで。お母さんの結翔ちゃんへの想い……結翔ちゃんは、他のページも見せてくれてさ。
「母の日記帳何冊も。その日記帳は私の子供の頃の……」
結翔ちゃんが生まれた時の、喜びが溢れたページ。
「母は、私と父が病院に着くまで頑張ってくれたの。最後のページにメッセージが書いてあって」
(幸せだった……)
「なのにっ、中学卒業の後に再婚するって!パパっ!」