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Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜

第16章 トキメキの始まり



「私の母は4年前……ひき逃げ事故で亡くなったんです」

(……)

 瞬間、結翔ちゃんはブワっと涙溢れさせて。 キミはどれだけの涙を流してきたの……

 今だって。コースターの上のアイスコーヒーが、当の昔に氷も溶けてしまっただろう、コーヒーのグラスが水滴の涙を流してる。

「ご、ごめんなさい。二宮さん、ずっと涙が止まらなくて、ごめんなさい」

「謝らなくていいよ。泣いてもいいんだよ。みんなみんな、話していいんだよ」

 結翔ちゃんは、コクコクッと、ちっちゃく頷いて。


「ち、ちょっとごめん、結翔ちゃん」


 俺は話腰を折ったのを謝りながら、お砂糖とミルクがテーブルに置いてるのを確認してから、備え付けのタブレットでアイスコーヒーを注文して……結翔ちゃん、2冊の日記帳を抱きしめて小刻みに震えてる。


「4年前、2020年の9月10日。後、5日で37歳の誕生日だったのに……」


『オマタセシマシタッ↗』

 ……注文のタイミング間違えた……感染症は終息しないし、インフルエンザも流行ってるもん。仕方ないけどさ……タブレットで注文とか、ロボットの店員とか……悲しい世の中になったよね。


 ロボットのお盆に、古い方のグラスを返し新しいアイスコーヒーを受け取り、結翔ちゃんの前に置くと。


「え?」


 ビックリしつつも、スティック状の砂糖を入れようとして、手が震えちゃて結翔ちゃん。

(可哀想に……)


「美味しいのを、飲みながら話そうか?結翔ちゃん。お砂糖とミルク入れるの手伝っていい?」

 俺は、砂糖と小分けになっコーヒーフレッシュ。ミルクを入れてかき混ぜてから結翔ちゃんに。

「はい」

 って。渡すと。

「ありがとうございます。二宮さん、話、上手くまとめられなくて長くなっちゃうかもだから ……マスクしますね」

 瞬間、トキメイテいた。心遣いの出来る結翔ちゃんに。トキメキの始まりだったんだ。
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