第16章 *colorful smill*〜青峰大輝〜
「お待たせしました。」
すっかり暗くなった夜八時。
いつもは賑やかな広場も、花火大会があるからか、この時間は人が少なかった。
その中で、背の高い彼を見つける事は簡単で、すぐに分かった。
「青峰君、いつもは遅刻するのに、今回は時間守ったんですね。」
「うるせぇな。お前を一人にすんのは危ねぇだろ。…ほら。」
そう言って、私に手を差し出す青峰君。
いつもバスケをしてるだけあって、大きい手だ。
「…手、繋ぐんですか?」
「お前が迷ったら困るだろ。それに、こっちのがお前に歩幅合わせやすいし。」
迷ったりしませんよ?と言えば、もしかしたらあるかもしれないだろ、と言われた。
あるとしたら、青峰君が迷う方だと思うけど、それを言ったらまた機嫌を損ねそうなので、やめておく。
「気持ちは嬉しいんですが、カップルに見られますよ?」
「っ…あーもう、俺が繋ぎたいっつってんだから、大人しく繋げよ、馬鹿!」
痺れを切らしたように、無理やり手を引っ張られる。
でも、私がついて来れるように合わせてくれていた。
「…ありがとう、ございます。」
「…別に。」
自分から繋いだのに、なんで照れてるんですか。
後ろから見た青峰君の耳は、真っ赤に染まっていて。
…そんな事されたら、こっちまで緊張するじゃないですか。
手の温かさが心まで染みてきて、全身が温かくなった気がした。