第14章 *Happy Birthday 7/29*〜笠松幸男〜
「すぅ…はぁ…」
放課後の教室で、一人深呼吸をする。
黄瀬によると、渡すまでの流れは、部活の休憩時間、ここで待ってる私を黄瀬が体育館に連れて行き、そこで先輩に渡すっていう感じらしい。
多分、もうすぐ黄瀬が来る。
緊張してきた…。
『ガララッ』
「遠野ちゃーんっ!お待たせっスー!」
「なんでそんなにテンション高いのよ…。エベレスト超えてんじゃないの?」
でも、これくらい明るくしてくれると、多少は緊張も解れた。
黄瀬も、私の事を気遣ってくれてるんだろう。
告白の時と同じくらいドキドキするけど、黄瀬もいるんだし、大丈夫。
精一杯作ったんだから、今更悔やむ事なんてない。
「…行こっか。」
「了解!」
絆創膏が巻かれた指で、紙袋を持って、私は教室を後にした。
「し、失礼しまーす…」
「これは遠野ちゃん!今日もなんと麗しい…!あ、今度の日曜とか空いて
「か、笠松先輩、ちょっと…いいですか?」
森山先輩は無視して、紙袋を背中に隠しつつ、笠松先輩に近づく。