第2章 *恋心 feat.赤司
俯いて苦しさに耐えるように下唇を噛むと、頭に何かが乗っかった。
そして、ふわふわと撫でられる。
…実渕先輩の手だ。
「香奈ちゃんは、自分の気持ち知りたいの?」
「…はい。」
「そうね…じゃあ、正解は香奈ちゃんだけが知ってるから分からないけど、一つ教えてあげる。」
実渕先輩と視線を合わせると、優しく微笑んでくれてた。
「好きな人がいないって言われても、傷つく時もあると思うわ。だって、それは自分にも可能性がないって事でしょ?」
本心を見透かされたような、そんな気がした。
それは、私が考えてたどの言葉よりもしっくりくるもので、私の気持ちそのものを表していた。
「…そう、ですよね。」
自然と口元が緩み、笑顔になる。
さっきまでは、知るのが怖い自分もいたのに。
今ではすごく嬉しい。
「ん、いい笑顔。」
「なんか、元気もらえました。ありがとうございます、実渕先輩。」
「お礼なんていいわよ。私はただ、可愛い後輩ちゃんの相談に乗っただけ。」
明日、言えるかな?
それは明日の私次第だけど、それでも。
「私、出来る限り頑張ってみます。」
好きな人がいないなら、私を好きになってもらうことも出来るんだから。
そう考えて、前向きになってみる。
「応援してるわ。」
「はいっ!」
明日の朝、君にこの気持ち、伝えられますように。