第2章 *恋心 feat.赤司
どうして辛いの?
わかんない、私の気持ちも、赤司くんの気持ちも。
なんで…?
「あら、香奈ちゃんじゃない。」
「あ…実渕先輩。」
さっきまでの感情を隠すように、精一杯笑ってみせる。
「部活お疲れ様です。今、帰りですか?」
「ええ。香奈ちゃんも?」
「はい。もうちょっと早く終わったんですけど、後片付けが長引いちゃって。」
実渕先輩も家の方向が同じで、たまたま下校中会うと、必然的に一緒に帰る事になる。
お互い何も言わなかったけど、気が付けば、実渕先輩は歩く速さを合わせてくれていた。
「どうしたの?悩み事?」
「…私って、そんな分かりやすいですかね…?」
赤司君にも同じような事言われたな、と思い出し苦笑する。
私は、嘘を吐くのが苦手なのかもしれない。
「…私、赤司君の事どう思ってるのか、自分でも分からないんです。友達として見てるのか、男の子として好きなのか。それで、自分の気持ちが知りたくて、朝、赤司君に好きな人を聞いたんです。」
私が言わずとも、どうして好きな人を聞いたのかは分かっているようで、実渕先輩は静かに聞いてくれていた。
「赤司君は、いないって言いました。それで私、安心するのか、何とも思わないのかのどっちかだと思ってたんです。
でも…何でか分からないけど、悲しくて…。」
じわじわと心の中に広がる、ズキズキするような思い。
呼吸が苦しくなった。
「私、どうしたらいいか分からないんです…っ」